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JRE Stationカレッジ「ライフテックコース」第4回 3つのチームが掲げたミッションとは

2024.01.12

株式会社リバネスと東日本旅客鉄道株式会社は、課題発掘型リーダー育成講座『JRE Station カレッジ』を運営しています。本カレッジでは、社会課題を解決するために一人ひとりが知識を蓄え、情熱を持ってその知識を活用することで、実際にサステナブルビジネスを生み出すことを目指します。

前回の様子

12月19日(火)、ライフテックコースの第4回を開催しました。いよいよチーム単位での挑戦の始まりです。ゼミ活動では、前回生まれた3チームが、自分たちがどんなパッションを持ってどんな課題を解決しにいくのか、そこにどんなテクノロジーを用いるのかを発表します。

講義:課題を深掘りし、生涯関わるに値するイシューを見つける

第4回の講義テーマは「自らの情熱でみつけるDeep Issue(ディープイシュー)」。JRE Stationカレッジでは、「自分が生涯関わると決めた自分ごとの課題」および「本当に解決すべきだが、未解決の根深い地球上の課題」をディープイシューと定義しています。講師の前田里美は、「受講生の皆さんがこれまでに発表してきた自らのQ(課題意識)とP(情熱)を、今日の講義内容をヒントにしてさらに深掘りし、より鮮明なディープーイシューを見つけましょう」と語り掛けました。

最初のトピックは「個から地球全体へ」。人類が誕生してからの歴史は、地球そのものの歴史で見るとごくわずかな期間でしかありません。自分たちが解決しようとしている課題やその先を地球規模で考えること。また、組織・地域・国といった区別を超えて地球をひとつのものとして俯瞰するボーダーレスな感覚を身につけることが、ディープイシューを見つけるために重要であると説明がされました。

その他、ものごとを多面的かつ時間軸を考慮して捉える「4D思考」の重要性(4D思考で俯瞰する)や、ディープイシューをもつ現場のベンチャーと出会うことがディープイシューの発見やその解決法を探るために効果的であるといった話が展開されました。

講演:ANDの発想で危機を乗り越える

続いてゲストスピーカーによる講演です。登壇したのは、株式会社ジャパンヘルスケアの代表取締役医師・岡部大地氏。同氏が「100歳まで歩ける社会をつくる」というビジョンを掲げるヘルスケアスタートアップを立ち上げた経緯や起業してからの道のりを語っていただきました。

岡部氏はもともと医師として病院で働いており、医療の現場を見る中で、予防医療、特に筋骨格系疾患(足腰の痛みなど)の重要性に気づき、その思いに共感してくれた仲間とともに起業しました。現在岡部氏が推進しているのは、筋骨格系疾患の予防のための「硬性立体インソール」という治療法。これは、硬くて立体的な構造のインソールを靴に入れて履くことで骨格が補正され、姿勢が良くなり、痛みの予防や改善、運動効率の向上といった効果が期待できるものです。これを普及させるために、足の写真から足の骨格を補整するオーダーメイドインソールを作る「HOCOHインソール」や病院処方向けの「アシスタインソール」といったサービスを立ち上げました。さらに、地域や環境そのものが人を健康にしていくように調整する「ゼロ次予防」ツールとして「足の健康診断」サービスも開発中です。

岡部氏が2017年に起業してからここに至るまでの過程は、決して一本道だったわけではありません。対象領域だけでも、一次予防(生活習慣の改善など)から始めて、ゼロ次予防、二次予防(重症化の予防)、そして三次予防(発病後のリハビリや再発防止)へとピボット(方向転換)を繰り返してきました。また、会社運営そのものが不調に陥り、組織崩壊の危機を迎えたこともありました。苦境から事業を立て直す中で岡部氏が学んだのは、「患者と会社」「感情と論理」「創造性と計画性」など、どちらか一方だけではなく両方を追求するANDの発想だったと言います。受講生にも、これまで目を向けていなかったところにも思考を向けてほしいとメッセージを送りました。

プレゼン:チームで取り組む課題の表明

第4回のゼミ活動のテーマは「チームのミッションを掲げる」です。前回のゼミで、Q(課題意識)とP(情熱)でメンバーが結びついた3つのチームが結成されました。今回はチームの代表者が自分たちが目指すものを3分でプレゼンします。この日のために、各チームのメンバーはコミュニケーションをとりながらプレゼンの内容を固めてきました。

3チームはそれぞれ、「高栄養価の野菜を作って『誰もが健康で美しく歳を重ねられる社会を創る』」「自分らしく生きるために『会社員も青春をもう一度体験したい』」「赤ちゃんの笑顔で高齢者の予防医療を実現する『笑顔で薬を越える!』」というミッションを発表。これからどういうアクションを起こそうとしているのかを語りました。

プロデューサーやゲストスピーカーから「課題感の根拠としているデータは本当に正しいのか。別の切り口もあるかもしれないので、エビデンスとしての制度を高める必要がある」「大人が青春を取り戻すとどんな世界が実現するのかが不明瞭」「テクノロジーとの接点が弱いと感じる」「笑いと健康に関する先行研究はすでにあるので、それとどう絡めるのか、あるは差別化するのかが知りたい」──といった鋭い指摘が次々と出ました。本気でビジネス化を考えるからこその辛口な批評であり、受講生たちは真剣な顔で聞き入りメモを取りました。

次回のゼミ活動のテーマは「事業化する前提で事業計画をつくる」です。今回発表したチームのミッションの解像度をさらに高め、ビジネスモデルとして提示します。アイデアを起点とするプロジェクト案が実現性のある事業へと生まれ変わる瞬間が、ぐっと近づいてきました。

<本件に関するお問合せ先>
株式会社リバネス JRE Station カレッジ運営事務局
担当:伊達山、海浦、立花
E-mail:[email protected]

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